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ぺーじむいしゅきん−北海道十勝の原野より

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#子どもの俳句はたのしい

わたしが子どもの頃は、自由研究は夏だけだったような気がするのだが、時代が変わったのか、土地柄なのか、四月少年の小学校には冬にも自由研究がある。
小学一年生といっても関心のあるテーマは数多あるのだが、大人が完全に放置していてもそれを「研究」として成り立たせられる小学一年生は少数派だと思われ、茫洋とした関心の海を形にし「研究」たらしめることが学びとして求められているのだとすれば、そこには自ずと親の出番が要求される。

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…困ったなあ。
自給自足などと言いながら「ものづくり」系があまり得意ではないわたし、カバンを作るとかハンカチを作るとか、そういったことを側について根気強く教える仕事は御免こうむりたい。本人は夏の自由研究「鹿角ナイフ」に続き「原野の木で作る弓」を作りたいと言っているけれど、今は冬で材料が落ちていないし、弓はT氏が作ってもなかなか調整が難しいのだ。
そんなわけで、少年には悪いが母親の得意分野をもちかけてみた。

「俳句つくってみるのはどう? ほら、昔『日本語であそぼ』でやってたじゃない。ごもじもじ〜、ななもじなもじ、ごもじもじ」

少年は漫画を読みながら言った。
「ごもじもじ? ああいいねー、それにするー」


夏休みに削りまくった鹿角(これは材料)。これもなかなか大変だった…

 

<俳句の研究 手順>
/渊餞曚破椶鮗擇蠅討て、ルールを調べて書く。
⇒名な俳句について感想を書く。
自分でも十句作ってみる。
このみっつだけ! 簡単! ほとんど放置していてもできそう! と思ったのだが、七歳児にとっては意味のある文章を作ってそれを読める字で書くというだけでもものすごく骨の折れることなのだということを忘れていた。学校から持ち帰ってくる作文達は、先生がていねいに間違いを正し、教え導いた結果なのであって、そこには「過程」があったのだ。

かくして、四月少年は残り一週間で「大変だ、大変だ」と半べそをかきながら俳句と格闘することになったのだが、その詳細はおいておくとしよう。
今回書きたかったのは、特に国語が得意というわけでもない普通の一年生である少年でも、こんなに俳句が読める/詠めるのか!という驚きである。

 


子ども向けの俳句本に載っていた一句を少年が気に入った。

 たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ  坪内捻典

これ、ふつうの大人だったらどう読むのかなあ。
少年の感想はこう。
「ぽぽが火事というところで、ぽぽが赤くなっているかなとおもっておもしろかった。ぼくはどうして火事になったのかもわかった気がした。おこったときにぽぽが赤くなって火事になるのだとおもう。」
”ぽぽ”とは何なのかということには一切触れていない。何っていわれても、”ぽぽ”は”ぽぽ”だよ、という感じ。
ネットで調べてみたら「たんぽぽの花が火事のように見えるということではないか」という解釈がたくさん出てきたのだけれど、小学一年生の感想の方が面白い。個人的には、怒っているというより、恥ずかしがっているというほうがしっくりくるような気がするけれど、怒っているぽぽも可愛いと思う。

もうひとつ、面白かったのが

 じゃんけんで負けて蛍に生まれたの  池田澄子

「じゃんけんと生まれるのとはかんけいないので、おもしろかったです。ほかにはなにに生まれたかったか、かんがえてみると、ねーうしとらうーたつみーうまひつじさるとりいぬいーだと思います。それか、かえるかもしれません。なんでかというとみんなつよいどうぶつばかりだからです。ちえをもつものもいればじゃんぷりょくをもつものもいます。それにくらべてほたるは空をとぶのとしりがひかるだけですからね。」
しりがひかるだけ…(笑)、これも大人になったらできない「小学生男子的感想」。
様々に解釈できるこの句、基本的には小さく儚い蛍の命をかろやかにあたたかく詠んだ句…なのだろう。

けれど、わたしはまず、このホタルは女だなあと感じる。この口調、ひっそりとした感じ、ホタルだけでなく人間でもいそうでしょう。「蛍」からの連想というわけではないけれど、倉本聡のドラマに出てきそう。女性というものがもっと陰(いん)のものだった頃の女性というか…。「じゃんけんで負けて女に生まれたの」に、近いものを感じる。そういえばホタルのメスって、飛べなくて、草の上で光ってオスを呼んでるだけだったような。
な〜んてふつふつとまとまらない感想を吹き飛ばす「しりがひかるだけですからね。」に、わたしなどは脱帽してしまうのである。


次は彼が自分で詠んだ俳句をいくつか。


 くまのにくおなかの中でおわかれだ

 クリスマスピアノの中があったかい

 あいにいくだんろの中のかみさまに

 たけうまもたけのこのこがいたのかな

 カマクラにはいればかじははいれない

 おもちつきもちっともちっとあそびましょ

 手ぶくろは人のこころをよんでいる


面白い!
…いや、確かに「これだと”ふーん。あっそう”って感じの俳句じゃない?」とか「うれしいな、とか、書かなくても伝わると思うよ」とか、「この句、面白くないから真ん中の七文字ちょっと色々変えて作ってご覧。」とか、わたしが口を出したものもある。
しかし子どもというものは、「クリスマスサンタがきたよたのしいな」などと詠んで母をげんなりさせた後にいきなり「手ぶくろは人のこころをよんでいる」というような句を持ってくるのだ。
わたしは俳句が専門ではないので、俳句としていい、悪いという評価はできないけれど、それでも子どもの発想の飛躍は短詩にすごくマッチしていると思う。
「くまのにく」の句も、「おなかの中でねむってる」やら「おなかの中でさけんでる」やら色々考えた末に本人が「おわかれだ」にしたのだが、一体何を思って「おなかの中でおわかれだ」を選んだのかなあ…、と考えてしまう。

「手ぶくろに心を読まれてるの?」
「うん、そんな感じする。」

子どもっていいなあ。
俳句なんて早いと思っていたけれど、子どもだから詠める句もある。年齢を重ねるうちに宝になるかもしれない。
ちなみに兄の俳句づくりを脇で見ていた十月少年(五歳)が
「ママだいすきなハイクできた。言うか? ”ままだいすき ぎゅーしてちゅーしてだっこする”。」
こちらは母の宝になったのであった。

子どもの俳句あそび、おすすめ!




2017.02.17 Friday ... comments(0) / -
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